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海外環境市場の拡大を図る時だ


 日本機械輸出組合がアジアの環境プラント市場への日本企業の参入に向けた課題をまとめた報告書「環境調和・循環型社会下におけるプラント産業戦略調査最終報告書」を出した。その詳細は次号で紹介するが、面白いのはインドの環境市場について述べている点である。
 海外の環境プラント市場といえば、台湾、韓国、シンガポール、タイぐらいしか頭に浮かばない。ある程度経済成長がないと環境プラントのニーズが出てこない、と言われており、そのためインドは環境の市場としては全く度外視されていたといってよい。
 同報告書では、インドの現地調査を行なっているが、現地のプラント関連企業の駐在員の話のなかで「遅々として進まなかったインドも96年ごろから急速に変化している。10年前を知っているからといって、ものを言うと間違うことがある」という言葉があった。環境に関しても、現時点では電力、水道、通信、交通網などの社会的インフラの整備が課題となっているが、ここ数年で環境に対する認識が高まってきており、将来的には有望なマーケットである、としている。
 さらに、大気や水だけでなく、都市ごみ処理や有害廃棄物処理なども成長が期待されている。さらに、環境マネジメントやエネルギーマネジメントなど環境サービス分野での取り組みも増えつつあるという。
 しかしながら、インドにおいて日本の環境プラント企業やその技術に対する認識は極めて低い。「欧米の企業は頻繁にインドを訪れて、技術アピールをしているため、認知度が高い。しかし日本の企業は殆ど現地でアピールしていない。明らかに出遅れている」という。
 日本の環境プラント業界はこれまで国内だけで仕事をしてきており、海外にはあまり出ようとしていない。しかし将来的に環境分野が大きなプラント市場となる。様々な課題はあるものの、国内市場が縮小している今こそ、固定観念を捨ててマーケティングを行なっていく好機といえる。
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