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千代田化工、関新社長のもと再建へ

財務リストラにメドつけた西尾前社長は特別顧問

 1月の臨時株主総会での減資承認に続き、新再建計画の財務面の要であった債務免除と第三者割当増資にメドをつけた千代田化工建設。一連の財務リストラと、アライアンスなどによる事業基盤強化への道筋をつけたところで西尾社長は退き、関誠夫氏が新社長に就任した。

西尾氏は営業をサポート

 社長就任時から「再建にメドをつけた時点で経営をバトンタッチする」としていた西尾前社長は、今回財務リストラにメドをつけたことで、言葉どおり社長を退任した。
 一方、新社長に就任した関氏は、西尾前社長とともに、千代田化工再建を推し進めてきた。すでに、昨年から次期社長として西尾氏の片腕となり、新再建計画の策定や、国内外企業とのアライアンスを手掛けてきた関新社長は、この再建計画を着実に進めていくことが求められている。
 再建への筋がついたとはいえ、千代田にはこれからも険しい道が続いていく。その「いばらの道を進んでいく、という覚悟のある言葉をもらった」。これが西尾前社長が関氏を次期社長に決めさせたようだ。
8歳年下の関新社長に経営を移した西尾氏は特別顧問となる。「今後は自分の人的ネットワークを活かして、営業面で役に立っていきたい」と述べた。

筆頭株主が三菱商事に

 昨年11月に千代田化工建設が発表した「新再建計画」では、財務面に関して東京三菱銀行をはじめとする金融機関と三菱商事に対して262億円の債権放棄要請を計画していた。しかし、今回発表された内容では、債権放棄要請額を36億円減額している。これは、ナイジェリア向けの引当金の一部が回収されたことによる引当金の減額と、18億円を債権放棄から割当増資へ転換するデッドエクイティスワップを行うこと、さらに為替レートが昨年の計画時点よりも円安が進行したことを反映させたことによるもの。
 これに伴い、第三者割当増資は当初計画時の93億円から116億円に増額されている。発行された新株は総数6,125万株。発行価額は190円。主な割当先は、三菱商事(847万3,000株)、海外環境プラントで提携した荏原製作所(526万3,000株)、海外における業務提携先であるギリシャCCCグループのニューコープ・エス・エー(473万6,000株)、台湾CTCI(52万6,000株)。そのほかプラントユーザー、商社、ベンダー、金融機関など22社に割り当てる。
 この増資にともない、筆頭株主はKBR―MCインベストメントから三菱商事へと変更されることになる。
 今回の第三者割当先の中にKBRは入っていないが、これに関しては「手続きが間に合わなかったため」としており、KBRは今後とも千代田を支援していく考えに変化はないという。
 これらの財務リストラ計画の変更に伴い、2000年度の損益計画にも変更が加えられた。当期利益の予想も18億円下方修正されることとなった。これにより、再建期間が1年間先送りされ、2006年3月期に累積損失の最終処理が行われることとなった。
 2000年度業績では単体で当期利益マイナス48億6,000万円を予想していたが、これがマイナス67億円と赤字幅を拡大する。一方、受注面では目標としていた900億円を達成しており、今後市況も回復しつつあることから、同社では極力、早期の再建を目指していく、としている。

○関 誠夫(せき のぶお)氏のプロフィール
昭和19年9月21日生まれ(56歳)、埼玉県出身。昭和45年:東京工業大学大学院工学部生産機械学科卒業。同年千代田化工建設入社。平成6年5月:ファイン・インダストリーズプロジェクト部長。同9年6月:取締役、SIプロジェクト本部副本部長。同10年6月:常務取締役、企画管理部門副部門長。同11年6月:企画管理副統括。同12年3月:企画管理副統括権IT推進部長。同12年8月:代表取締役専務取締役、事業統括。同13年4月:代表取締役社長